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平成15年7月15日
初夏を彩る壱岐の旬づくし

 長崎県情報誌の第14号(平成15年7月発行)冒頭に、ブランド作りに掛ける「初夏を彩る壱岐の旬づくし」が掲載されたので、以下に概略を転載して紹介する。

.剣先剣  波に乗る剣先烏賊のブランド化

 ケンサキイカの絶好の漁場である壱岐では、平成12年からそのブランド化に取り組んでおり、「壱岐剣」名で主として開催方面に出荷している。勝本魚協の大久保照亨理事(下の写真)の話では、壱岐剣は壱岐島周辺で捕れる胴の長さが22糎以上のケンサキイカで、傷のない美しい姿のものだけに与えられるブランドである。地元の漁業士たちは、試行錯誤の末にケンサキイカを収納する特殊トレーを開発した。実はこの特殊トレーを使用した出荷方法にブランド化の鍵があった。

 「それまでは氷詰めで出荷していたが、イカが氷に直接触れて変色し、身が固くなることがあった。でも、このトレーの開発によって変色もなくなり、鮮度も保ちながら美しい姿ののままで出荷出来るようになった。おかげで市場からも高い評価を受けていると」と大久保理事は話す。

 壱岐剣は、胴長35糎以上の大型だけをトレーに入れた5本入りのほか、サイズ別に10本、15本入りの3タイプがあり、平成13年には壱岐全島で約3000箱出荷した。「今年は豊漁だから勝本漁港だけで3000箱出荷したいと。厳しい時代だが漁師にとってはむしろチャンス。良いものだけが残って行く」と大久保理事は胸を張る。島というハンディを克服したブランド化への取り組みは、今大きな波に乗り始めている。

 下の写真は壱岐剣の刺身、安国寺、岳の辻から渡良3島を望む風景、活気に溢れる魚市場、勝本港を出港するイカ釣り船、特殊トレーに入った壱岐剣(5本入り)。

壱岐剣先剣


大久保照亨氏

.壱岐牛 徹底した管理で質の高い子牛を育てる繁殖農家

 勝本町上場地区の加藤 健さんは母牛に子牛を生ませて育てる繁殖農家である。加藤さんが妻美佐子さんと壱岐に帰ってきたのは今から20数年前、農業を営んでいるご両親が高齢になったため一緒に暮らすことがその目的だったという。当時、健さんは会社員、妻の美佐子さんも農業の経験はなかった。それでも美佐子さんは見よう見まねで牛の世話を始めた。そして平成10年、成牛30頭規模の牛舎建設をきっかけに健さんは退職し、繁殖農家として夫婦二人三脚の経営がスタートした。成牛17頭からしだいに頭数を増やし、今では目標の30頭を達成、昨年度は子牛30頭を出荷し、壱岐の平均出荷頭数を大きく上回るまでになった。壱岐は県内有数の肉用牛の産地で、その出荷平均価格は県のそれを大きく上回っているという。

 加藤さん夫妻のこだわりは、なんといっても超早期離乳。少々かわいそうに聞こえるかもしれないが、子牛が生まれると3日で母牛のもとから別の牛舎に移し、人工乳で育てるという方法である。
 「超早期離乳には二つの大きなメリットがあります。一つは子牛の生育にばらつきがなくなり、そのほとんどが健康に育つということ。もう一つは、出産後の母牛の回復が早く、次の分娩までの期間が短くなる。つまり効率的な元気な子牛が出産できるようになるのです」と健さんは語る。「これからも質の高い子牛を育て続けたい」。最期にそう話してくれた加藤さん夫妻の向こうでは、たくましい牛たちが元気に動き回っていた。

 芦辺港の直ぐ近所に壱岐牛焼肉専門料理店がある。店に入り注文すると、ジュージューと音をたてながら運ばれてきたステーキは、匂いだけでも食欲をそそる。口の中でとろける肉の柔らかさ、肉汁たっぷりの旨さ、広がる深い味わい‥‥。極上の逸品に最高の幸せを感じる。

 下の写真ははらほげ地蔵、左京鼻、加藤さん夫妻、加藤さんの牛舎、壱岐牛のステーキ、キャトルステーション、子牛のせり市など。 

壱岐牛

.アスパラガス
  環境の優しい農法で目指すアスパラガスの一大産地作り

 箱崎針尾地区の寺田福光さんは、アスパラガス農家だ。壱岐では昭和61年頃からアスパラガスの露地栽培が始まり、平成元年には各地でハウス栽培がスタートした。平成4年からは春の収穫に加え夏の収穫を始める一方、産地が一体にになって減農薬、減化学肥料をめざして環境保全型農業に取り組んできた。そして平成13年には、生産者集団としては全国で始めて生産者全員がエコファーマーに認定されるなど、さらに安全性を追求したアスパラガスづくりを展開しており、今では約5ヘクタールで年間約1億円を売り上げる一大産地へと成長した。寺田さんはJA壱岐郡アスパラ部会長を務める産地の中心的人物である。

 寺田さんのハウスでは一面にアスパラの親木が広がり、土から伸びたアスバラガスが元気な姿を見せていた。アスパラガスの栽培は、まず種をまき1年間かけて親木を育てることから始まる。
 「親木の株をしっかり維持管理していくことが大きなポイント。質の良いアスパラガスをつくるために私たちは、稲わらゆ肉用牛の糞尿を堆肥化し、撤退した土づくりを進めています」寺田さん。まさに水稲、肉用牛の島、壱岐らしい取り組みである。
 ハウスの中には見たこともない容器が吊されていた。虫が好きな色や匂いで病害虫を誘い込み駆除するためのものだ。できる限り農薬を使わずに、安全でおいしいアスパラガスをつくりたいという生産者たちの思いがここに感じられた。

 寺田さんが抜いてくれたアスパラガスを生で食べてみた。柔らかくてしゃきしゃきとして食感、とれたてならではのみずみずしさ、そしてメロンのようなほんのりとした甘さが口いっぱいに広がる。始めての体験に驚く姿を見て寺田さんは笑いながらこう言った。「美味かでっしょう?これなら野菜嫌いの子どもたちもきっと好きになりますよ」。その言葉のなかに、アスバラガスづくりひとすじにうちこんできた信念がみなぎっていた。

 下の写真はアスパラガス、専用のハサミを使っての収穫、寺田福光さん、君枝さん夫妻。

壱岐アスパラガス

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